お招きいただき、B&B福田里香さんのトークに出かける。風立ちぬがメインテーマだったのだが、衝撃的だった。ぜんぜん画面を見ている解像度が違う。視力が違う。受け取っている情報料が違う。私なぞ、映画を見ても見たことにならない。こんなボンクラに観られて、描いているアニメーターたちが哀れだ。そう思わされるだけの大量の示唆と気付きに満ちたトークだった。

たとえば終盤、菜穂子が嘘をついて外出するシーンひとつをとって見ても、おれなどボーッと「ああ台所で女中たちが働いてるなあ」でおしまいであった。里香さんにかかれば、それは、二郎の飛行実験の成功を祈願確信しての、お祝いの押し寿司をこさえているシーンであり、かつ結核の菜穂子は押し寿司を作る輪に入ることもできない、ゆえに食べずに出て行く描写が導かれている、という読解であった。まさしく目から鱗であり腑に落ちすぎた。

そういうのがボロボロでてくるのだった。正直、私には、そこらのボンクラよりは目が良いという驕りがあった。しかしそんなもんはゴミであった。がくぜんとした。あとカネジュンさんに延々、本庄はゲイ、駿もゲイ、庵野もゲイ(ほかにも延々世界の大半をゲイと決め込んで語り続けるきっぷの良い姉さんであった)、と刷り込まれたせいで、もはやほんとうにそうなんじゃないかと感化されてきてやばい。

打ち上げに混ぜていただき、くもはるせんせい、たなかあいさん、芥陽子さん、タマフル古川耕さん、上村さんら、一緒。アウェイ感ありながらとても楽しく過ごさせていただき、収穫の多い晩となった。