なんかちょっと忙しかったね。来客、ミーティング、面接、医者、商談、旧友来社。新しいメンバーとの新しいプロジェクトの打ち合わせは楽しい楽しい。いつもこう楽しくいられればいいのだけれど。フレッシュ!

朝から本降りの雨、新調したゴアテックスのジャケットを「出番でござる」とばかりに大喜びで羽織ったら、すべてを撥く、撥いてやるぜーといい調子になって傘をささずに出かけまして、長靴はいた子供がドヤ顔で水たまりに突入するのと同じ精神構造ですけど、お恥ずかしい話ですがちょっと、風邪を惹いたかもしれないよね……。なんでかっつうとゴアテックスの撥水性は完璧だったけどズボンと顔と靴は普通に濡れてたからだよね……。

防水機能で思い出したことがある。むかし学生の頃にゼミ旅行というのが企画されて、大学が持ってる高原の山荘に出かけたことがあった。麓の駅ではまったくその気配もなかったのだけれど、バスで山を登り出すとみるみるうちに積雪が増し、湖、あれは野尻湖だったっけかな、の畔でバスを降りたときには、優にメートルは積もっている始末だった。

皆ここまですごい雪だとは思ってなくてコート程度の軽装だったんだけど、そこは学生のこと、雪見て大はしゃぎである。ズボッ、埋まるー、投げつける、ダイブ、雪まみれ。体温で溶けるから、もうびしょ濡れだ。寒い寒い寒い、かじかむかじかむ! そこでひとり、おれね、調べて知ってたのよ、すごい積雪だって。そんで寒冷地仕様のN3-Bにソレルのスノーシューズに防水の手袋を準備してきてたの。

おれ、完全装備。濡れないし、寒くないし、雪入ってこない。はっはー。そしたらその頃ちょっと好意を抱いてた女の子がさ、「唐木くん、つまんないね」って、ぼそっと。「ぶつけてもなんともないじゃん」って。こう確かに、みんなドシャメシャの雪まみれの中、ひとりノーダメージで。「なんか、面白みないよね」って。ああ、準備万端とか防水機能かんぺきとかは、常に正義ってわけじゃないんだなーと思い知ったハタチの頃でありました。