This is itで僕がいちばん感動したのは、マイケルがジャクソン5メドレーのシーンで使ったインイヤーモニタに注文を付ける場目だ。「頭の中で怒鳴られているようだ、耳が痛くて聞き取れない」みたいなクレームに続けて、マイケルはこう言う。「このシステムが悪いわけじゃないよ。ただ・・・僕は小さいときから自分の耳で音を聞き取って判断するように訓練されている。そう育てられてしまったんだ。だから慣れなくて・・・ごめんね」。

マイケルの中では、モニタの返りを聞きなして的確なパフォーマンスをする能力は、自らの努力によって獲得したものではなくて、あくまで自らが育てられた環境、自分を仕込んだ親兄弟によって与えられたものという認識なんだ、ってことがわかって、なんというか、息を呑んだな。たぶんモニタリングの技術に限らず、ステージを支える基礎能力の多くが、所与のものという認識なんじゃないかな、と想像された。あのパフォーマンス、自分の手柄じゃないんだ、彼の中で。

付け加えて言うならケニー・オルテガ筆頭としたスタッフ陣の、このツアーの準備に突っ込んだ金と時間と熱量を、なんとしてもこの映画でリクープしてやる、しなければならない、だから本気でこの映画を作り込もう(それがマイケルへの供養になる、みたいな感情論は置いたところで)という覚悟めいたものにも感動したな。

きのう会社で話してたので、SLACKの「My Space」を聞く。