どうにも体調が悪い。まずい。夏の完全回復は一時的なものと終わりそうだ。とりあえずもう下り坂に入ってしまったので、あとは落ちるところまで落ち切るのを待つしかない。下り坂のときというのはコントロールしようがないのだ。明日が底か、また死にかけるのか、転落がどこで止まるのか予測もできない。自分によく言って聞かせたいのだが、上り坂の時間を引き延ばすことに集中しなければならない。上り坂はうれしい。うれしいから駆け上りたくなる。体調で言えば、すぐに治ってしまいたくなる。けれどてっぺんまで駆け上ってしまったらまた落ちるだけだ。上り坂の最中だけは、コントロールが許されている時間帯だ。だから、牛歩のようだと笑わずに、はしゃがずに、なるべく歩みの速度を落として、いやらしいほどじーっくりと、スローモーに、上っていることを楽しみつくすように、上っていられる時間を引き延ばし引き延ばし過ごすのだ。それを、自分にもう一度いい聞かせたい。