9日ぶんの日記、前にしゃべったことを思い出しついでに書いたんだけど、ほんの3ヶ月前なのにはるか昔の話題みたいだ。すごいね。オレンジレンジの消費されっぷりがすごいのか、季節の移ろいがすごすぎるのか(まさかほんとに春が来るとは! それどころか初夏に片足突っ込みかけてるぞ)、俺の環境が激変したせいなのかわからないけれど。

で、その9日はすこぶる愉快な週の走り出しだった。普段は恵比寿経由の日比谷線で出社するんだけど、月曜は神宮前に勤める彼女に合わせて田園都市線で渋谷を経由していて、その渋谷で出勤する彼女を見送ったあと、のれん街のDean & Delucaでシナモンロールかなんか頬張ってたら、大声で「ゲンさん!」と呼ばれたんで声の方を見ると、ずいぶん懐かしい顔が笑っていてマナブさんだった。まだ20世紀だった頃にターンテーブル買って1ヶ月の俺をエイジアのブースにねじこんだ恩人であり、公私ともに渡って何かと面倒を焼いてくれたダチなのだが、ここ3、4年はあんまり生活域が噛み合なくて連絡が途絶えていたのだった。

朝の光線の中で見るマナブさんはかつてなくヘルシーで新しい名刺なんかくれたりして、でも記憶の中でちらほら程度だった白髪がロマンスグレイと言っても差し支えないくらいにごっそり増えているのに気づいて、お互いに流れた時の長さなんだか短さなんだかわからないけどとにかく時間を確かめる。いろいろあったけど、俺ら生き延びたねー。固い握手。もうあの頃と俺らはずいぶん違ってしまったけど、そんなのなんてことない。これからもガッチリ生きていく。しかたないけど生きてくんだ! なーんてことはひと言も口に出さず、イエーとかニャーとか言って大声で笑って別れる。俺は偶然道端で人と遭うのが大好きで、それで渋谷に住んでいたようなもんだったのだ。

そんでえらく気分がいいまま普通に村上隆バス(MOMAマグリット・アンブレラをパクってるのな)で出勤して、仕事チャーッとして帰ってジャリの散歩で海岸沿いをチャリで流してたらケータイが鳴って、誰かと思ったらずいぶんとごぶさたじゃないか元カミネットの阿部だ。この人とツルんでた頃って俺はもうちょっとした飲んだくれだったのだから一応今世紀とはいえずいぶん前だけど、耳元で割れている声は当時より張りがあって「社会復帰したよーんまだリハビリ中だけどー」と笑っている。そんでそのリハビリ先はどこかって聞いたらこれが笑う、のれん街のDean & Delucaだって言うじゃないか。

俺今朝そこにいたよシナモンロールべとべと食ってた。って言うとアラあたしも今朝は早番入ってたわよ白衣着て6時起きよ。嘘だろーなんだそれ笑う。スタンドに出てろよ! ごみーん今日はデリだった。ちっくしょ、ナイスニアミスじゃねえか。それも懐かしつながりで微妙に二重の。聞けば阿部は今月末から毎週日曜、のんべえ横町でバーの女将をやるそうなので覗いてやろうっと。でもあいつ、狭所恐怖症じゃなかったっけ。大丈夫かな。