これだけは書いておかなくちゃならない、ということがあったので。僕はみんなに向けて言う。希望を捨てちゃいけない。絶対にありえないことなんてない。現実味に薄いも濃いもない。この世界では、望みさえすればどんなことだって起こりうるんだ。難しいことはひとつもない。こんなこといいな、ってただイメージするだけでいい。ドラえもんがいなくたってどんな夢でも絶対叶う。可能性がないことなんてない。ウソじゃないよ。自信たっぷりで言おう。ドリームス・カム・トゥルー!

デンパ入りつつ本題だけど、ロータリーエンジンって言葉は聞いたことがあると思う。理論上はもっともエレガントかつハイパワー、そして現実にはロスとトラブルまみれで制御が難しくもはや風前の灯火、つまり最高に美しいエンジン形式だ。このロータリーをよりによって3基も積んだクルマがユーノス・コスモ。ファミリーユースなど知ったこっちゃない2ドアボディに立体駐車場で追い返される超ロングノーズ、国産2ドア車としては最長不倒の2750mmホイールベース、実用域での使い勝手を完全に無視した3ローターによる280ps・41kg/mのハイパワー&トルクは・・・ごめん、ズレてもいない眼鏡を直しつつ1オクターブ上で倍速トークしちゃったけど、続きはここを読んで。言いたいことは全部書いてある。

とにかくクルマ史上もっとも無駄が多く、過剰で、バカバカしく、つまり最高に好いたらしい車種、それがユーノス・コスモだ。僕は、そして僕以上に椎名はこのクルマが好きだし、憧れだし、すれ違うたびに釘付けになって事故さえ起こしそうになる。停まってるのを見ただけで誰かがコスモに乗ってるってことに興奮するし、それを遠くから、近くから眺めて時間が過ぎていくことも稀じゃない。ガタピシ車級のエンスーマインドを沸き上がらせてくれる、永遠のヴィーナスだ。

そんで昨日、Nonにいた僕と椎名(と加藤くん)は例によって、周りのお客さん巻き込みつつ浮かばれない冗談とか飛ばして酒を飲んでいたんだけど、なんかの拍子に向かいの女の子(文句ないカワイ子ちゃんだ)が「うちの2ドアだから」って言ったんだ。なんか引っかかったんだけどどうせポロかなんかだろ、と思って流そうとしたら、すかさず椎名が「え、何乗ってるんですか?」って。もちろん答えは「ユーノス・コスモってクルマ知ってる?」

落ち着けー。ここで問題となるのはその女の子の鼻筋でも職業でもチンポ付きかってことでもない。そのコスモが20Bか13Bかってことだ(13Bは2ローターのディフュージョン・モデル)。そしたら「そりゃ20Bでしょ」って。「トーゼン」って。うわああああああ。バカ2匹大はしゃぎ。

コスモのあのバカでかいドアから細っこくて小っちゃいカワイ子ちゃん、それもキャリア臭皆無のオリービーなのが降りてきたらどうしよう、なんてのは僕らの間で腐るほど交わされた日常的なたわ言だ。もちろんそんなことありえない。不人気車種で、燃費最悪で、椎名だってあんだけ好きなのに(この日このバカはロータリーエンジンのTシャツまで着ていやがった)断念してロードスターに逃げたくらい手に負えないクルマだ。そのオーナーが野郎でなく女性、それもチャーミングで、お洒落さんで、なおかつグッドヴァイブな女の子だなんて、そんなミラクルあるはずがない。それが、目の前にいた。いたよママ! そんで椎名とル・マンにおける国産車初の総合優勝を飾ったマツダ787の4ローターエンジンについてバリバリ語ってるよ! さあ、最初の段落に戻ろう。