散歩の途中でまた椅子を買ってしまった。ソファと同じノール、しかも同じファブリックだったのでこれはもう仕方ない。しかしソファを入れると座面5ヶ。ヤフオクにでも出そうかと思う。ウィルクハーンのFS(オリーブグリーン)、誰か引き取ってくれませんか?

さて、リンドバーグの次は、渡る世間(最近ワタオニって略すんだって!)をやってみよう。ただいま大家(正確にはそのヨメ)と戦闘中。ああいう女キライなんだよマジで。事情をかいつまむと、俺がこの家に越してきたときはまだ大家のお母さまがご存命だったんだけど、名義上の大家である3代目の息子は眼鏡かけて見るからに気の弱いおっとりした坊ちゃん面で、なにやっても上手く行かない、また実際洋酒の輸入かなんかに手出してコケたりしてるタイプだったから、実質大家的なつとめはすべて大奥さま(俺内勝手な呼称)が果たしていたのね。余談だけど、彼の役立たずっぷりは嫌いじゃないしむしろ長所だと思う。商売には向かないけど。

ともかくこの大奥さま、俺すごい好きで尊敬していて、たとえば郵便ポストなんて必要なものだけ取ってピンクチラシやDMは残しておけば勝手に捨ててくれたりとか(彼女にプライバシーもクソも通用しない)、換気しようとドアを開けたままコンビニ行って帰ってきたら靴がきれいに並んでいたとか、下の階の簡さんが停めたチャリが邪魔だってんで車輪ロックしたまま道向こうの簡さんの店まで運んで慌てさせたりとか、バイク便の荷物も勝手にサインして引き受けてくれたしうちのリフォームの件も即オーケーしてくれたし、その他もろもろのエピソード全部好き。

去年の夏、クモ膜下でころっと死んじゃったんだけどさ、俺、命日のあとに大奥さまに会ってるんだ。朝っぱら帰ってきたらほうき持ってパジャマ姿でドアの前掃いてんの。あいさつした。あいさつしちゃったんだからこれはもう仕方ない。さておき彼女が亡くなってすぐ、ヒゲも剃らずに抜け殻状態と化した息子のとこに通ってきてたのがいまのヨメ。すぐにちょうど空き部屋だったウチの真下でいっしょに暮らすようになって、大奥さまのやっていた事実上の大家の座に取って代わっちゃった。気づいたら1階を改装して不動産屋まで始めて、人聞き悪めに言ってみりゃまんまと乗っ取られちゃったかっこうだ。

大奥さまのときは3カ月貯めて半年分払ったりしてた家賃も、この女、毎月PHSまで催促してくる。いきなり共有部分をリフォームしはじめて、麻利子さんが「すてきな階段ね」って褒めてくれた上海かサイゴンの留学生向け学生寮みたいな古びた手すりも、大塚家具的白痴的ツートンカラーに塗り替えられてしまった。趣のあった団地ライクな郵便ポストも、へんてこなダイヤル錠のついたアルミのポストに。移ろうかと考えていた2階の空き部屋のリフォームに至っては、せっかくのタイルの上に世界中でもっとも忌むべき床材、フローリング柄のウレタンマットなんて貼ったりして。心から唾棄すべき、お安すぎる高級感志向。最低。挙げ句の果てに1階のすりガラスなんかステンドグラス柄のシールで覆ったよ(考えようによっちゃこれはアリだ(笑))。

入り口の押し引き自在だった扉に至っては、一方向にしか開かないようロックつけやがって、外から戻ったら引いて開けなきゃなんない。酔っぱらって帰るたびに「ガコン」ってやって不愉快なことこのうえない。しかも「押す」「引く」「禁解放」なんてバカ丸だしのプレートまで付けちゃって! なんなんだそりゃ! そもそもなんでロックつけたのか、その発想の源泉がわかんない。消防法か? どっち開きか白黒付けないと気持ち悪いエノキダ的性格だったのか? 住人の所作までコントロールしたいのか? 風水か? コパか? コパがそう言ったのか?! で、やっぱり名義上の大家は「良い人と書いてオット」状態で完全に言いなりのままだ。

ようやく与件を説明したところで本題に入ると、いまちょっとしたお願いを大家にしていて、名義上の大家であるところのオットに話したらオーケーだってんでコトを進めていたんだ。ところがヨメに俺のお願いを報告したら奴は気に食わなかったらしくて、申し訳ないけどやっぱりNGだと手紙で(ここらへんが彼らしい)通知してきた。ヨメ〜〜〜〜! 共有部分のカラーリングについては黙ってたけどな、この上まだ俺の気を逆撫でするか! ってことで戦うことに決めました。バトルの結果は、また後日。