お子が保育園的なのに通い始めて、それまで発熱らしい発熱もなかったのだがすかさず風邪をもらってきて、そしてそれをピンポン感染した結果、2月に入ってからずっと寝込んでいた。カーッと発熱すればサクッと解熱しそうなものなのだが、やはり自分に体力がないせいか、モヤモヤとした症状がモヤモヤと体力を削っていく感じが続いていて、陰湿な風邪だなこれは。

寝てばかりいたら全身がバッキンガム宮殿になってしまったので、仕方なくマッサージに出ることにした。電車もしんどいのでウーバーを呼んでハタと気付いたのだが、アメリカに来てから、自分が信じられないほど変わったことがある。クルマの後部座席でシートベルトを締めるようになったのだ。

2008年くらいからタクシーが徐々に声掛けするようになって、しかし日本ではすべてハイハイと聞き流してきた。なんか、そういう醜悪な不遜さが、自分にはある。しかしアメリカに来てしばらくして、こら締めない理由はないな、くらいに思うようになった。

タクシーもウーバーもドライバーはたいてい移民で、つまり世界中の運転マナーがピンからキリまでコレクションされてる状態と言っていい。私がこれまで運転したことのある地域でもっとも運転マナーが良かったのはハワイだけれど、あれを100としたら15くらいのドライブ民度だろう、この街。

そんで事故は毎日ざらにある。しかも体感的に東京より事故の重篤度が高い。なぜかというと街中の平均巡航速度が速いからである。これはハワイもそうだけど、少々オーバーに言えば、アメリカの運転マナーに低速域は存在しない。基本50キロまではベタ踏みがマナー。

そんなわけで、だ。インターカムで本国の奥さんとスカイプ夫婦喧嘩しながら急加速を繰り返すバングラデシュ人の後部座席に座っていた私はすっかり自然と怖気付き、誰に言われるともなく静かにシートベルトを締めるようになったのであった。

いきなり話題が変わるが、小用もいつからか座ってするようになった。人間に絶対変わらないことなんてないな、と知るのもひとつの老いである。