シンゴジラを見てきました。ボストンでは2カ所の映画館で計5回しか掛からないので、全回完売。どの回もすごく小さなハコだったので、配給はもう少しリスクを冒してもよかったのではないかと思う。さて会場は日本人だらけかと思いきや数組しかおらず、多くが白人の古参オタだった。年齢層高かったね。エメゴジのTシャツ着てたりバンダナ巻いてたり、周囲の歴戦のナードたちは上映前から気合入ってるのがビシビシ伝わってくる。

英字幕は黄色の文字で、セリフ対訳は下に、テロップ対訳は上に出る。対訳はだいぶがんばっていて、読み切れるワード数に収めることを第一義としているように感じた。だからニュアンスはかなり省かれていて簡潔な言葉選びが多く、官僚言葉とか尾頭さんのあの感じとかは伝わらないし、そこは残念がっても仕方がない。かわりに意味を伝えることはしっかり機能していたので、責任回避ギャグとか謎解き、駆け引きはしっかり伝わっていたように思う。そして、それでもなお字幕で画面が埋め尽くされてしまう。あの字幕量が冗談の一種だと何割にわかってもらえただろうか。

劇場で印象的だったリアクションは、まずチーム紹介でのオタク、変人、のくだりで大ウケ。あと冗談ポイからごめんなさいでややウケ。官邸デモは字幕に「Save the Gojira」って出たので大ウケ。特撮関係についてはアクアライン避難でそこそこ掴めていたのに、蒲田さんから品川さんは少し難しかったか反応薄かった。あれはリテラシー要るよね。内閣ヘリ撃墜ではオオウという声が上がるも、そのあとの焼き尽くしには反応薄め。つまり単純な破壊はあんま響かなくて、人間やドラマツルギーが絡んでこないと受けないのかなーと思った。

カヨコはちゃんと機能してた気がする。こういうアジア系か、ははん、って感じのリアクションだった。デキる東洋系がイキがって白人のように喋りたがっている、という描写としては問題ないどころかばっちしだったのではないだろうか。いっぽうで登場するアメリカ人、学者とかゼーレみたいに並んでる人とか飛行機の中のおじちゃんとかは軒並み不自然に安っぽく見えた。となりのおっさんもこれはさすがに子供じみてる…みたいなこと言ってた。致し方ない、洋画に登場する日本人の不自然さの逆写しであろう。

それにしても、四方をアメリカ人に囲まれて観る対米従属ギャグの数々は、なかなかにサキャスティックな体験だったように思う。特に不愉快そうなリアクションはなくて、ダヨネー、みたいな感じだったよ。「アメリカはいつも身勝手」みたいなセリフはコツコツ受けてたし、それをどんでん返しての「さすが米軍」では爆笑が取れていた。みんな途中から、これ会議ものだ、おもしろ政治ドキュメンタリなんだってことが飲み込めてきたようで、泉ちゃんの出世トークとか里見さんのお辞儀とかコツコツ受けを取れてた。ただ「矢口は親の七光りで」ってところで「え、どういうこと?」ってなってる人がいて、たぶんアメリカ人にはあの細面が政治家に見えてなかったのかも。

私は2度目だったので、ご覧のとおり客のリアクションと、海外で見ることの異化効果みたいなところに気が向いてばかりいた。ヤシオリが成功したときに、みんなポカーンとしてたのも面白かった。たぶんイエーイ!ハイタッチ!カタルシス!みたいのがないので受け止めかねてたのではないかと予想する。そのせいか、上映後は、数人がパラパラと拍手をして、でもあとが続かず寂しい感じになってしまった。トイレ待ちの行列で少し前後の人と話したが、日本映画としては面白かったけど怪獣映画としてはウーン、っていう反応だった。それでいいと思う。

あとひとつどうしょもない感想を書くと、この10ヶ月は授業もテレビも茶飲み話も、たぶんその場で自分がいちばん理解できてないんだろうなーという引け目を感じながら摂取していたので、フハハハハ、この劇場でたぶんおれがいちばん内容を理解できているぞ、フハハハハ(トーンダウンする)そりゃそうか……という感慨がありました。ほんとはこのあとMBのミーティングをやって、KINGのボストン凱旋ライブを見てきたんだけど、長くなったので明日にします。