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1週間が、平日5日が、冗談のように飛んで過ぎ去った。覚えていることといえば初めてお会いしたマンガ家さんが地上の奇跡のように気分のいい性格の方で、いたく感動して帰ってきたことぐらい。仕事も一切はかどらなかった。はかどるという感覚すら忘れてしまった。花ももう散った。
起きたら横風に煽られて屋根に跳ね返ったしぶきがけぶるような強い雨で、出不精には拍車がかかるが、悪い気分じゃない。雨のにおいと音とには、記憶喚起装置としての強烈な作用がある。15年前に1度だけ寝た、そのあと忘れっぱなしでいた女の子のことを前触れなしに思い出して、あんまりなんでものべつまくなしにしまっておくもんじゃないな、と記憶の仕組みを軽く呪ってみたりする。