仕事をタモリに切り上げ、ジャリを預けて海へ。いよいよこの季節にボード持って電車に乗っていると、奇異の視線ですらない見ちゃイケマセン扱いで、逆に気が楽ですらある。今日は乗り換えでうまいこと湘南急行を捕まえられて、2時には到着。朝のうちの快晴はどこへやら、準備体操をしている間にも黒々とした雲が空を覆い始め、気温は土曜日よりずいぶんマシなものの、小雨混じりのタフコンディションとなってしまった。そんで波なんだけどこちらもタフで、えーと、もうお手上げ。コテンパン。泣いた。ひとつにはへたにサイズがあるため、いわゆる下手っぴさんの練習ゾーンであるインサイドは、荒磯みたいに真っ白になっちゃってて乗れる波がない。誰もいない。

そんで、仕方なしにヒーコラとアウトへ出ると、通常の波は厚く(盛り上がりの傾斜が緩く)て、何度トライしても俺のパドル力じゃ滑り出さないし、そもそもぜんぜん割れてくれない。で、ザーンッと白く割れるのはセット(間欠的に3〜4本まとめてやってくる大きな波)だけなんだけど、これはもう肩というよりは頭近くありそうで(肩、頭とは浜から見たとき、ボード上に立った人のどのあたりまで波の高さがあるかを表す)怖くて泣きたい気分だし、それ以前にうまい人たちの間ですら取り合い(一本の波には基本的に一人しか乗っちゃダメ)になっているのでよう乗れんわ。つうか平日の午後遅くって初めて入ったんだけど、季節も季節だし、もうレベルがぜんぜん違う。ローカル率高すぎ。下手クソ俺だけ。たぶん休日の湘南で無作為に100人抽出してスキル測ったら現在の俺は90番台前半にあると思うんだけど、今日はあからさまにドン尻。ヒー。

それでも意地とかあるからすごすご帰ってくるわけにもいかず、西に夕焼け、雲の切れ間から青空、幾筋もの光の帯、そして茅ヶ崎方面に稲妻が落ちるパノラマをキレイだなあ、とか堪能していると、不意にセットが入ってきて、しかも隣の人が譲ってくれたかっこうになっちゃって、えーっマジで? でもこれで行かないと次はねえし、チキンでもやるときゃやりますよエーン、どりゃー、ギャー落下落下! 立ち立ち立ち! と立ち上がったら加重が下手くそで失速、追っかけてきた波に後ろから身体全体ぶっ飛ばされズバーン。ボードが頭にゴツン、うわいッテーくるくるくる、ブクブクブク、上上上(洗濯機の中じゃ当然上下感覚ロスト)、水面水面水面、プハーってとこに次の波がドシャーン(笑)。帰りたいー。つうかここどこー。でふと気づいたらもう立てるくらい浅かったりして。

結局懲りずにアウトに戻って何本かトライするも、まともに拾えたのはさっきの1本だけ。前々回に結構スキルアップしたからちょっと調子に乗ってたんだけど、今日はほんとに何もさせてもらえなかった。トホー。しかも潮が速くてどんどん辻堂方面に流されていくので、そのたびパドリングして位置を修正しているだけで腕はパンパン。雨がひどくなってきたので外に置きっぱなしの携帯電話が心配、という自分内エクスキューズを作って(笑)上がることに。でも今日の猛々しい海はほんとに綺麗だった。江ノ島to伊豆半島でパノラミックなのも当然だけど、水中に残った波の小さな気泡に雲の切れ間から覗いた青空が映りこんで、そこだけ淡い緑に染まるのね。冬の湘南でミントグリーンの水に囲まれるなんて、サーフィン始めるまで考えたこともなかったよ。<13回目>鵠沼、微オン、胸肩セット頭、トロ厚、2時間。

帰り、鵠沼海岸駅の商店街にあって、いつも前を通るたびに気になっていた古書店を覗いてみる。こういうとこの古本屋って掘り出しもんがー、とか思いたかったが、それなりの品揃えにそれなりの値段、白水のルネ・ドーマル『類推の山』ハードカバー初版4500円、とかでガックシ。電車は帰りもすんなり乗り継いで帰って来られた。昨日ファンになっちゃったイェンセンで明日の分までペストリーを買い込んだのに、異様に腹が減っててドアに着くまでに完食。しかもその後で作り置きのおにぎりを平らげ、友達の女の子にカワイイ後輩紹介してやるから今すぐ来い、と呼び出された(教訓:必要は発明の母、期待は失望の母)アローズ裏のカフェでチャーハンみたいの食って、まだ腹減ってるんでリョウタさんと落ち合ってビールにツナサンド食って、帰ってからトマトジュースとパイの実とベヤングとプリン食って寝た。高校生かっつの。あとNonでTさんというすげえチャーミングな女の子とお知り合いに。もう久々の逸材。俺もリョの字もベタ褒め。朝は築地で家業の仲買手伝ってて、そんで理系大学の化学科できょう実験だったー、とかって白衣持ちあるいてんの。素晴らしい。