ひさしぶりの更新だけど気の重い内容です。ジャリの口腔内にガンが見つかって、余命いくばくとのこと。一昨々年に父が死に、一昨年に母が死に、今度はジャリで、率直に言ってあんまり気が確かではありません。40代は喪失続きだね。

もともとジャリには慢性の歯周病があって、それは飼い主の歯磨きケアの至らなさでもあるのだけれど、6年くらい前に左の奥歯が腫れて膿んで、そのときに何本か抜歯したという経緯がありました。そのあとは定期的に歯石除去をやったり、人間用電動歯ブラシの導入で歯磨きもいくらかマシになっていたのだけれど、1年近く前だろうか、こんどは右の奥歯が痩せてふたつに割れてしまって、少し血が出たりしていたので治療しようかどうか迷っていたのだった。

迷っていたというのは抜歯には全身麻酔が必要で、その頃すでに15歳を超えた老犬にとって全身麻酔のリスクは小さくないのだった。ボストンの獣医とも「いつかは抜歯しなきゃね」と話しながらも、とにかく麻酔の事故を恐れて、6年前みたいに本格的に腫れてきたら手術しよう、それまでは様子を見ようと日和った態度で見過ごしたのだった。振り返ると、この判断が死に至らしめる病気を招いたと思う。

しかして1月の19日かな、右の奥歯あたりが腫れてるのを見つけて、ああ、とうとう腫れてきたか、と思ってブルックリンの獣医を検索しはじめ、週明け22日にgoogleマップのレビューがこのあたりでいちばん良かった獣医に行った。若い先生だったが、ああ歯周病ですねー、抜歯しないといけませんねー。ということで手術の見積もりをもらい、ただ老犬なので麻酔のリスクを見定めなければならないということで、血液検査と心臓のエコー検査をするよう言われたのだった。

まずはその場で血液検査をして、24日に検査結果が届いたのだが血小板の数値以外は良好で問題ないとのこと。ならもう抜歯してよと思ったのだが、心臓エコーの検査なしには麻酔できないと言うので、紹介されたゴワーヌスの総合病院で検査の予約を取って、翌週2/2にエコー検査を受けた。検査を待つ間にも腫れはどんどん大きくなっていったのだが、あらー膿んでしまったかしら、くらいにしか思っていなかった。それより抜歯手術の見積もり金額にマジかよと思っていたのだった(40数万円)。

エコー検査の結果は良好で、小型犬に多い僧帽弁閉鎖不全の評価も5段階で2番目と年齢にしては優秀とのこと。一安心しながら、心臓外科の医師に「ちょっと相談があるんだけど、この抜歯の見積もり、高すぎない?」と見せたところ、ドン引きのジェスチュアとともに「うちの提携病院だから何と言ったらいいか微妙なんだけど、これ相場の倍近いから、よその獣医に行ったほうがいい」と言われたのだった。それで翌2/3に近所の病院をいくつか下見して、いちばん雰囲気のよかったところに行った。もうgoogleマップの星は信じないぞ。

その2軒目、フロントでその日は予約でいっぱいと言われ、翌週の予約を取ろうとしていたときに若い医師が通りかかり「どうしました?」と言うので、「歯周病で腫れてしまって」と答えるなりその医師が「見た感じ、これ歯周病じゃないですよ。たぶん腫瘍、それもシリアスなものだと思う。今日は申し訳ないけどいっぱいなので、来週火曜に院長の予約を入れて、組織検査もしてください」と言う。「シリアスな腫瘍? それってガンってこと?」と聞くと、ジャリを触りながら「ええ、たぶん」。

それで翌週火曜日の予約を取って、それでも帰り道にはまだ「また大げさな。検査検査でかなわんな。あそこも商魂たくましい病院なのでは」とか別種の呑気なことを考えていたのだが、2/6の朝に検査のため預け、午後に引き取るときに歯科が専門だという院長と話せて、「これまでの経験で言うと、ガンの可能性が高いと思います」とのこと。それでもまだ心中では「まさかー」って思っていたのだが、2/8に生検の結果が返ってきて、線維肉腫という種類のガンだと判明した。

院長先生から説明ののち、「骨とリンパ節への転移が見受けられますので、手術、放射線抗がん剤いずれも大きな成果は得られないと思います。残念ですが、ペインコントロールくらいしかできることはありません。余命をはっきりとは言えませんが数週間から数ヶ月でしょう。おいしいものを存分に食べさせて、看取ってあげてください」と言われる。ぜんぜん現実みがなくて、帰ってきてからも検査結果の医学用語を検索しながら、受け止めきれずに放心していた。すいません続きます。